ヘインズとリーバイスとR&Rと ── バブル期にバイクと過ごした日々

IMG_2080

バブル景気まっただ中だった

街は派手なブランドロゴが溢れ
トレンディドラマがもてはやされていた

でも、あの頃の僕は
少しだけ違う場所にいた

カセットテープから流れるのは

佐野元春
浜田省吾

片岡義男の小説よろしく
白いヘインズのTシャツに、
洗いざらしの色落ちしたリーバイス501
何度もワックスを塗り込まれ
やれたワークブーツ

それが、バイクに乗るときの“正装”だった

派手じゃない。
高級品でもない。 

でも確かに、自分なりのこだわりがあった。





スローなブギにしてくれ
片岡義男
2015-07-01



目次

  1. バブルという時代の中で
  2. 佐野元春「ハッピーマン」とSweet 16の衝動
  3. 浜田省吾「J.BOY」が突き刺さった夜
  4. なぜ白いヘインズだったのか
  5. 夕暮れの国道、ヘルメットの中の自分
  6. 今も変わらない“余白”の価値


タイトルなし


にほんブログ村 バイクブログ バイク旅へ
にほんブログ村
👆いまこのブログは全国で何位?
クリックで確認!

バブルという時代の中で

80年代後半

18の夏
世の中は浮かれていた

 DCブランド、肩パッド、
ディスコ、トレンディドラマ
ワンレン、ボディコン


街は光り輝き、消費は正義だった

でもバイクとバイトに明け暮れる

貧乏学生だった僕には、
どこかその光はまぶしすぎた。 

憧れもあった。
でも同時に、距離もあった。

多分僕は
外見を飾り守るモノではなく
僕が僕であるための“芯”を探していた。
確かなものを探していた。

道標は音楽であり
自由な心の象徴がバイクだった。








▲当時の世相をよく表現していてあまりにも懐かしい気持ちにさせてくれるミステリー小説だと思ったら、作者は同世代で同じ時代を同じ場所で生きた同窓生だった。

佐野元春の衝動

佐野元春の「Happy Man」

ノリが良く明るい曲調
だけど、
その奥にあるのは
どことなくインチキだと直感させられる
当時の世相への鬱屈した気持ちを爆発させる
若者の叫びにも似た感情


それまでの日本にはなかった
目新しい曲調に夢中になった
新しい音楽にもどんどん
チャレンジする元春の姿勢に憧れた

焦らない
迷わない
浮かれすぎない
流されない

民事訴訟法のレポートの
締め切りを気にしつつも
好きなことには
とことん打ち込めた

バイク屋に入り浸り 
店の兄ちゃんたちに
『また来たのか』と
揶揄われながら 
 元春の“Sweet 16”よろしく
油だらけになりつつ

廃車になった
壊れたバイクのキャブを開き
発電器の接点を磨き
廃車の部品を移植をしては
復活させて乗り回した

廃車とはいえ
今の電気じかけの車両と違い
シンプルな、ほぼ機械だけの構造だから
修理は素人にも比較的楽だった

キャブレターを清掃しただけで
エンジンがかかる個体も結構あった

バイクに乗っている間は

何者かになりたい。でもまだ何者でもない。
若者特有の焦りにも似た

そんな宙ぶらりんな感覚を忘れられた

『白いヘインズのTシャツ』は
そんな僕たちの世代に
ぴったりだった。

 ロゴも主張もない。
 ただ「今の自分」を
包むだけのモノだった

SOMEDAY - 佐野元春
佐野元春
1992-08-29

▲HAPPY MAN が収録されている
アルバム『SOME DAY』
アルバムのメインタイトル「SOME DAY」
だけでなく全てが名曲だ

『つまらない大人にはなりたくない!』
元春の叫びが心に刺さった


「J.BOY」が胸に突き刺ささったあの日

浜田省吾の
"J.BOY"のイントロが流れると
僕の中に湧き上がる
プライドと孤独感。 

日本という国で生きるということ

バブルの光の中で、

 取り残されるような感覚

まだ自分は何者でもない不安

『お前のやり方を見せてくれよ!』
曲の中で浜省が叫ぶ

風呂もトイレも自室にない
狭い下宿の片隅で
ラジカセから流れるJ.BOYは
誰にも見せない僕自身との対話だった。

J.BOY
浜田省吾
2021-06-23




なぜ白いヘインズだったのか

安かったから?
もちろんそれもある。

当時3枚セットで1,000円程度の
白いTシャツだ


でも、それだけじゃない。

 ヘインズは“生活の延長線上”にあった。
 気取らない。
 飾らない。

 でも此処ではない異国アメリカの匂い。



通行料金がかからない時間帯の
深夜の日本平(現在は無料になった)
海沿いの大崩海岸・久能街道を
バイクで流した後
下宿の共同の風呂場へ駆け込む

片岡義男の小説よろしく
ヘインズとリーバイスを履いたまま
シャワーを浴びながら
亀の子タワシでジーンズを擦った

 新品のパリッと感が消えた
少しヤレた頃が好きだった。

 何度も洗って、少し縮んで 
僕の体温を覚えたヘインズと501

  それはファッションというより

僕の姿勢(スタイル)そのものだった。

そういえばアメリカ文化についても
バイク屋の兄ちゃん
タカハシさんにおしえてもらった

ヘインズのTシャツの縫製についても
あの人が教えてくれた

THE REAL McCOY'SやAlpha社
Carharttなどの
皮ジャン・作業着ブランドや
フライトジャケットの知識の豊富な人だった

貧乏学生の僕には
めったに乗れない新幹線で
東京の下町や自由が丘の
古着屋や古道具屋にも
連れていってくれたりもしたっけ


▲TYPE A-2やB-3など第2次大戦当時の
フライトジャケットが好きです。

このA-2モドキはいま娘がガバッと羽織って
自分のものとして着こなしています。
彼女たちにも刺さるんでしょうね。
「フライトジャケットに、
 こんな着こなし方があったんだ」
と感心します。









男女7人夏物語 DVD-BOX
エスピーオー
2001-11-23


ヘインズの歴史:白Tが生活になるまで

ヘインズは1901年、

アメリカ・ノースカロライナ州で創業。 
もともとはタバコ事業に始まる
下着や靴下をつくるニットメーカーだった。

20世紀を通じて、

「毎日着るもの」を
安定した品質で供給し続け、
 Tシャツは“特別な服”から“
日常の道具”になった
特徴的な 丸胴(脇下に縫い目がない)製法 
丈夫で分厚いコットンTシャツ
 
1970年代に登場したBeefy-Tは、
 洗ってもへこたれない生地感で、
 “着込んで育てる白T”の象徴になり
片岡義男の小説にも度々登場する

ヘインズが物語に似合う理由は、

 匿名性と生活感にある。
 ロゴで語らず、着る人が前に出る。 

僕にとって、それがちょうどよかった。



珍夜特急1―インド・パキスタン―
クロサワ コウタロウ
2014-01-15


夕暮れの国道とFT400

夕方の堤防道路。 

少し冷たくなり始めた風。


ラクーン
MT-5
VT250FC
CB250セニア
シルクロード
そして鉄カブ
拾ってきては直して乗ったバイク達は
皆個性的だったけど、なかでも
ホンダFT400が大好きだった

当時、アメリカで流行していた
“フラットトラックレース”のバイク
『トラッカー』をモチーフとしたバイクだ

フラットトラッカーを意識した
FTというネーミングからもそれが見て取れる

この10数年後にキムタクがドラマで駆った
TWに始まるストリート系や
FTRなどのトラッカーの大ブームが来るのだが
登場した時代が早すぎた
レーサーレプリカ全盛の
当時は日本では不人気車だった

ほぼ無料で譲ってもらったのだが
古き良き時代のアメリカも感じられる
本当にいいバイクだった

当時流行りのレーサーレプリカと違い
派手ではないがしかし力強い
単気筒の確実な鼓動が
体と心に響いた
 カセットテープの回転音。
 エンジンの音と振動。

 ベースラインと鼓動が重なる瞬間。

『このバイクは生きている』と感じつつ

「僕はどこへ向かうんだろう」

 そんなことを、

何度も考えていた。


当時は走ること自体が答えだった。


IMG_2095

FT400が第1巻で登場します。こんなマイナーなバイクを。。とバイク愛が感じられました
👇無料で読めます





今も変わらない“白”の価値

当時の浮かれた雰囲気に

派手さは要らない
焦らない
迷わない
流されない

自分は自分

削ぎ落とした結果


残ったのが
 白いヘインズとリーバイス501

オトナになった今はそんな格好で
バイクに乗ったりはしないけれど
バイクにまたがると、

あの頃の感覚が少し戻ってくる。


音楽は背中を押し、 風が胸を抜ける。


ファッションにもバイクにも心にも
白があるから
 敏感に世界を感じられる
世界の色がより濃く感じられる


何者でもない
貧乏学生だった僕にとって、
 白いヘインズは
ただのTシャツじゃなかった
“僕が、僕でいるための”旗印”だった

結婚して子供3人育てて
もうすぐ仕事は引退を
迎えようかという歳になった
結局、何者にもなれなかったけど

僕ら、結構
"面白いオトナ"には
なれてるんじゃないかな



スローなブギにしてくれ








にほんブログ村 バイクブログ バイク旅へ
にほんブログ村
にほんブログ村 旅行ブログ 国内旅行へにほんブログ村 釣りブログ 東海釣行記へにほんブログ村 バイクブログ バイク旅へ
👆いつも押してくださる方
ありがとうございます!
応援感謝です!励みになります
記事がお楽しみいただけたり
お役にたてましたら
押していただけると嬉しいです





👆ヒストリービュー過去の同一時期の記事を一覧できます